大容量バックアップデータをランサムウェアから堅牢に保護する「テープライブラリ」入門
テープライブラリ装置の特徴と利点
大容量とスケーラビリティ
テープライブラリは、通常数百テラバイトからペタバイト単位の大容量データを格納できるため、
大規模なデータアーカイブやバックアップに適しています。また、追加のテープドライブやメディアを追加して容量を拡張することが可能です。
コスト効率
テープはディスクストレージよりも低コストで提供され、かつ装置は消費電力が低くデータアーカイブやバックアップのために
長期間データを保管する際に費用対効果が高いとされています。
データの耐久性と長期保存
テープは耐久性が高く、電源が切られていてもデータが保持されるため、長期的なデータ保存に適しています。
また、磁気テープはデータの劣化が少ないため、数十年にわたってデータを安全に保存できます。
オフライン保管のセキュリティ
テープはオンラインで接続されていないため、サイバーセキュリティリスクが低くなります。
重要なデータを保護するためにオフラインで保存され、これによりランサムウェア等のサイバー攻撃からの保護が可能です。
こちらは、弊社が提供するテープライブラリScalarシリーズのポートフォリオです。
エントリークラスから、ハイパースケーラー向けまで4種類の製品を取り揃えております。
これらの製品群は、Quantum社が設計しておりロードマップを管理しています。
エントリークラスのScalar i3は最小25スロットから、エンタープライズクラスのScalar i6000は、12000以上のスロットを持ち、約200PBをサポートしています。
今回は、この製品群の中のエントリークラスであるScalar i3の基本的な構造と動作について簡単にご説明させていただきます。
エントリーモデルのScalar i3の基礎的な構造についてご説明いたします。
こちらは、装置を正面から見た写真となります。
筐体は、3Uのラックマウントタイプで奥行きは約93センチとなっております。
後ほど内部構造は説明いたしますが、黄色の四角で囲った部分はLTOテープメディアカートリッジを25巻収納できるスロット、つまり棚がついたマガジンとなっていまして、左右に一づつ実装されています。
LTO-9の規格であれば、メディア1巻18TBですので1つのマガジンで450TBまで対応可能です。
三角形の白いボタンは、イジェクトボタンで、このマガジンをイジェクトして引き出す際にこのボタンを押します。
このマガジンを引き出してテープメディアをセットしたり取り出したりする際に使用します。
こちらの写真はScalar i3の外観の写真です。
前面から見た写真の丸で囲った部分にテープメディアに対してデータを読み書きするテープドライブが3台実装されているのが見えます。
次に内部の写真ですが、こちらの黄色で囲った部分がメディアカートリッジの搬送用ロボットで、
メディアカートリッジをマガジンのスロットから引き出しテープドライブに挿入したり、テープドライブからメディアを取り出しマガジンのスロットに収納したりします。
背面写真は、実装されている3台のテープドライブを背面から見たところで、各ドライブモジュールにファイバーチャネルケーブルで接続されている様子です。
他に管理用のイーサネットにもネットワークケーブルが接続されています。
こちらはマガジンとメディアカートリッジです。
フロントパネルのイジェクトボタンを押すと左の写真のように筐体から引き出すことができます。
中央の写真2枚は筐体から完全に取り出したマガジンです。
マガジンには、バーコードが貼られたメディアカートリッジが収納されています。
一番右手の写真は、LTOメディアカートリッジ自体の写真で、LTO9規格のメディアであれば1巻で18TBのデータが保管できます。
各メディアにはバーコードラベルが貼られており、このバーコードによりテープメディアの管理をいたします。
次に、メディアカートリッジ搬送用ロボットとテープドライブのご説明です。
このロボットがマガジンのスロットに収納されたメディアカートリッジのバーコードを読み込み目的のメディアカートリッジをマガジンのスロットから取り出し、データの読み書きを行うテープドライブに搬送、挿入します。
中央と、右手の写真は、3台のテープドライブが実装されている例となります。
テープドライブは、メディアカートリッジに対するデータの読み書きを行います。
この写真では、3台のテープドライブが実装されていますが、特に高性能を要求されない用途でしたら1台のドライブでも使用可能です。
この写真を見てわかるように、3台のテープドライブの内1番上のテープドライブと、3段目のテープドライブにメディアカートリッジが挿入されていることがわかります。
今回ご提案する、バックアップ&アーカイブスペシャルパッケージです。
左側がお客様環境でNASがあると想定しています。
右側が今回ご提案のシステムです。
管理サーバーとLTOライブラリーと管理ソフトでの3点で構成されています。
バックアップ、アーカイブの方法として一般的に3-2-1ルールがありますが、
例ですが、3つバックアップを取って、2つが別々のストレージに保存、1つがLTOテープに保存し別の場所で保管。といったポリシーです。
3拠点などある場合は3-2-1ルールで別々の場所に取るのも良いでしょう。
費用感ですが、100TB保存できて5年保守付で1300万前後ぐらいになります。
テープは棚管理できますので、アーカイブ容量はテープを用意すれば無限ですし、耐火金庫などに移動して保管することも可能です。
デメリットを上げるなら、テープを出し入れの手間や、書き込み、読み込みの速度の問題と管理業務が増えることです。
デープドライブの速度ですが、ファイバーチャンネルの接続仕様で、1台実運用で200MB/s、カタログ値で400MB/sです。
次に、機器の構成を見ていきましょう。
まず、左側のLTOライブラリーです。
管理サーバーとはファイバーチャンネルで接続します。
今回のパッケージでは最大3台のLTOドライブが実装可能です。
こちらがバックアップをとるLTO8と9のテープです。
書き込める容量は違いますが、サイズは同じです。
LTO8は12TB、LTO9は18TBまで保存可能です。
1本当たりの価格差もありますので、容量が多いのでLTO9でというわけにはいかないので
運用に合わせて使用するテープを検討する必要があります。
表右側はLTOテープの参考価格です。
LTO7と9ですと、2.7倍の差があります。
選択するLTOドライブによっては互換がないものもあるので注意が必要です。
LTO9のドライブを使用すると、LTO8,9がリードライトできます。
LTO8のドライブはLTO7,8がリードライトできます。
テープライブラリーにLTO9と8のドライブを混合することもできるので、マイグレーションなどの設定も可能です。
続いて管理サーバーの構成を見ていきましょう。
管理サーバには、社内のネットワークに接続する為の、ネットワークカード
テープライブラリーに接続する為のファイバーチャンネルカード
直接テープに書き込むと、データの移動がスムーズにいかないのでそのためのデータ一時置き場24TBをもうけてます。
メモ
CPU: Single AMD Milan™ 7443P 24Core
メモリー : 128GB
ディスク: 3.5“ SATA HDD 4TB × 8 RAID6実行容量約24TB
ディスク2: 2.5” SATA SSD 480GB x2 RAID1 OS用
ネットワークカード: 2 ports 10GbE
レイドカード:Broadcom 3916 PCIe RAID card
ファイバーカード:2port FC PCIe HBA card
残りOS領域にバックアップ、アーカイブをするための管理ソフトを実装します。
こちらはQuantum社製のソフトウェアとなっています。
こちらのソフトを使用してバックアップのポリシーを決めています。
右側の写真のように、GUIで表示しチェックボタンや、数字など入力し設定していきます。
管理ソフトの機能については、たくさんあるので、ご興味ある方はデモ実施も可能です。
バックアップ、アーカイブポリシーを設定するにあたって、LTOテープの役割をどうするか設計します。
Scalar i3は50巻実装可能ですが、全てがデータ保存用として使用できるわけではないので、設計段階で注意が必要です。
検討内容としては、LTOテープスロットのパーティション、間仕切りの設定です。
こちらは1例になりますが、クリーニングテープをデフォルトで5本実装します。
I/E(インポート、エクスポート)、テープの取り出しを行う為のパーティション。こちらは左側のスロットの5本を指定すます。
データバックアップ用はバックアップをするテープ領域になります。
Vault 保管庫はその他の空きスロットになります。
以上の、要件を踏まえて、
図のようにバックアップするデータを指定し
自動的に、キャッシュストレージに送り
LTOテープに書き込まれたら、キャッシュストレージは消す
バックアップを複製する場合は1から4個まで複製することが可能です。
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