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東京・銀座の「日産ギャラリー」に導入

日産ギャラリー 様

日産自動車様は2014年から一時休館していた銀座「日産ギャラリー」をリニューアルし、昨年9月に再オープンしました。その際、弊社が取り扱う55インチのタッチディスプレイ「マルチタクション」を8面使った大型ディスプレイを導入。ギャラリーを訪れる国内外のお客様に大変ご好評をいただいております。導入にあたってはどのような経緯があったのか? 苦労した点は? 弊社担当者に話を聞きました。

  • 株式会社エヌージーシー
    ビジュアルソリューション事業部

いままでにない画期的なタッチディスプレイ

どのような経緯で日産ギャラリーに「マルチタクション」を導入したのでしょうか?

東京・銀座の日産ギャラリーが、2016年9月にリニューアルされることになり、遡ること2年前の2014年に、とある代理店様から「何か面白いもの、どこも採用してない新しいものを紹介してほしい」と打診がありました。クライアント様としては、リニューアルにあたり、何か目玉になるような施設がほしいということでした。条件として“タッチディスプレイ”というのがありましたので、すぐにこの「マルチタクション」をご提案しようと思いつきました。

海外の製品ですよね。どうやって見つけたのでしょうか?

とあるお客様から教えていただきまして。「こんなのがあるよ」と。それまで扱っていたタッチディスプレイが生産中止になってしまったので、それに代わる製品を探していたんです。資料を取り寄せてみたらなかなか良さそうだったので、さっそくメーカーのあるフィンランドに飛びました。

フィンランドまで行ったのですか?

もちろん。実際に自分の目と手で試してみないとわからないですからね。それで、実際デモを見てみたら、これがまた素晴らしい製品だったんです。一番の特徴が“タッチ数の制限がない”ということ。つまり、操作領域さえ十分にあれば、多人数が同時に別々のオペレーションをしても問題ないんです。同じようなことができる製品もあるんですが、こちらはスピードが圧倒的に速い。まったく遅れるということがないんです。まるでスマートフォンのような使い心地の良さです。一般的な業務用の大型ディスプレイは、やはり1テンポ、2テンポ遅れて反応するんですよね。例えば百貨店などの案内板でも、反応が遅いのでお客様にあまり使ってもらえていない。でも、このマルチタクションなら、そうした現状を改善できると思いました。

8面シリンドリカルのオリジナルアプリは国内初

これまでの国内での導入実績は?

最初は設備をレンタルする会社に卸しました。用途は展示会や企業セミナーなどのイベントですね。その後、店舗やデパート、小規模な博物館などに常設で導入されています。日産ギャラリーはその中でも、かなり大きいバジェットのプロジェクトとなりました。

システムの概要は?

55インチのマルチタッチのディスプレイを横に4台、縦に2台、計8台の構成です。形状としてはシリンドリカル、つまり内側に少し曲がるように設置し、没入感が得られるようなスタイルです。利用者はそれぞれの立ち位置で自由にディスプレイをタッチ操作し、日産のこれまでの歴史を写真や映像で楽しむことができます。例えば、商品写真をタッチすると、それぞれの写真にまつわるキーワードが出てくるんですが、それをクリックすると更にキーワードにまつわる写真が次々と出てくるなど、スマートフォンのように直感的に操作できます。

他の導入事例と違うところは?

8面による大規模なシリンドリカルに、完全オリジナルのアプリケーション。この組み合わせは、今までにありません。ですので、利用者にとってみたら、これまでに例のない、新しい体験ができるということになります。

この仕様は技術的には難しいのですか?

いえ。技術的にはさほど難しくないんですが、費用が莫大になります。マルチタクション1台が約400万円ですので、ディスプレイ部分だけで3000万円超。これまでも、“5面ほしい”“7面ほしい”というお話をいただいても、見積もりを差し上げると“そんなにするのか”と驚かれ、結局ご希望に添えないことが多くありました。ですが、今回は最初から8面というご要望をいただき、そのまま最後まで計画通り行きました。それくらいクライアント様にとっても気合の入ったプロジェクトだったんだなと思いますし、そうした大事なプロジェクトに関わらせていただいて、改めて光栄に思います。

熱とメンテナンス対策をどうするか?

導入に際し、障壁やトラブルはありましたか?

障壁やトラブルはありませんでしたが、懸念事項としては「設置方法」と「メンテナンス」の二つがありました。というのも、マルチタクション本体が特殊な製品で、ディスプレイだけではなく、高性能のコンピューターも搭載しているからなんです。また、タッチ用のデバイスも本体に搭載しています。つまり、非常に熱がこもりやすいんです。したがって、強制吸気、強制排気のベンチレーションをきちんとしてないと、簡単に壊れてしまいます。最悪なのは、ディプレイを囲ってしまうこと。熱がこもって一発でアウトです。

メンテナンスについては?

これも熱処理と同じで、周りを囲ってしまったり、嵌め殺しにしてしまったりすると、メンテナンスが非常にしにくくなってしまいます。どちらも、納品する際は設置担当の方に「気をつけてくださいね」と何度も念を押すんですが……。

今回はどうでしたか?

まったく心配ありませんでした。というか、完璧でした。ディスプレイの裏にバックヤードとなる空間が設けられていて、完全にオープンエアーなんです。熱のこもりようがなく、空調も効いて、理想的な環境でした。メンテナンスの部分でも、そのバックヤードからアプローチできますので、かなりやりやすい状況でした。そうしたスペースをわざわざ設けるのは大変なこと。さすがだなと思いましたね。

 

楽しむお客様を間近で見て……

お客様の反響はいかがですか?

クライアント様から直接お言葉をいただいたことはないんですが、設置されて1カ月後くらいに、日産ギャラリーに行ってみました。やはりリニューアルオープン直後ということで、様々な国の大勢のお客様がいらして、アテンドスタッフ様の手も追いつかない状況でした。それでも、ディプレイのおかげで、まったく問題なし。例えば、私が見たのは外国人の親子でしたが、お父様はお父様で自分の見たい内容を、お子様はお子様で気になる写真を別々にタッチして、それぞれ自由に楽しんでいらっしゃいました。ギャラリーのオペレーションに一役買っていたわけです。それを見て、ああ良かった、この場所に最適な製品をご提案できたなと思いましたね。

この「マルチタクション」は御社の独占ですか?

いえ、独占ではありません。日本での導入も我が社が初めてではありません。実は、独占にはあまりこだわっていなくて……むしろ競合相手がいたほうが市場も広がりますので、いいかなと。それでも、国内での取り扱いの割合は弊社が一番だと思います。その理由としては、国内のチャネルをきちっと抑えていること。つまり、数多くの代理店さんとしっかりお付き合いをさせてもらっているということです。そちらを通して、より多くのエンドユーザー様に商品をご提供することができるのです。これは弊社の強みだと思います。

その“強み”を維持するために努力していることは?

まずは、普段からお客様に、きちんと“差別化されたもの”を紹介するということですね。他にもあるような物を紹介しても意味がありませんから。あと、ベンダーとして“黒子に徹する”ということ。無理やり「こういうふうに売ってくれ」だとか「この市場に売ってくれ」ということは一切言いません。お客様の欲しい情報を欲しいタイミングできちっと提供する。これに尽きると思います。

 

子供達の未来に役立てたい

今後の課題や目標はありますか?

一つ、昔から思っていて、なかなか実現できていないのが「博物館」への導入です。美術館ですと実物があるのでいいのですが、博物館は実物があまり無く、その代わりに模型やパネルなどで表現するしかありません。そこに、この「マルチタクション」があれば、魅力が何倍にもなると思うのですが……なかなかチャンスが無いですね。

やはり金額的な問題が大きい?

そうですね。民間の小規模な博物館ならこれまでにマルチタクション1台を導入したことがあるのですが、2面以上というのはありません。やはり今回の日産ギャラリー様のような大規模な物は、国立系の博物館でないと難しいのです。その場合は官公庁様がお相手になりますので、予算の査定は厳しくなってしまいます。

マルチタクションを博物館に導入するとどんなメリットが?

まず、利用者の方がタッチディスプレイのオペレーションに迷うことが無くなりますね。ほとんどスマートフォンと同じ使い勝手ですから。また、超高解像度のデータも取り扱うことができますので、様々な写真や動画を、ストレスフリーでプレゼンテーションできると思います。また、同時操作が可能ですから、お客様の混雑緩和にも貢献できると思います。全国の博物館にこのマルチタクションが導入されて、特に子供達が夢中で楽しんでいる……そんな光景をいつか見られるといいですね。

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